元任天堂社長 岩田聡さんの生き様が書かれた書籍です。
任天堂の元社長だった岩田聡さんに関するとってもタメになるお話を集めた書籍「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」を読み終えました。ここでは所感だけでなく、少しだけ内容についても触れたいと思います。
岩田さんは胆管腫瘍のため2015年に55歳で亡くなられました。この本は亡くなられた後に、親交のあった糸井重里さんが纏めている日刊イトイ新聞に掲載されたものや、任天堂がWEBで掲載している「社長が訊く」に載せられていたものを再構築したものです。
そもそも岩田さんって何者?
任天堂やゲーム業界に詳しい方はご存知だとは思いますが、ゲーム業界に多大な貢献をした方です。
岩田さんこと岩田聡さんは、もともとはHAL研究所という、星のカービィやスマブラを開発した会社に入社し、そこで社長を務め、2000年に当時の任天堂社長の山内溥さんに頼まれ、任天堂の社長を託された方です。私は現在33歳で普通のサラリーマンですが、岩田さんが33歳の時はHAL研究所の社長になった歳です。しかも当時のHAL研究所は借金まみれの倒産寸前だったらしいです。
そんな若さで会社を立て直し、ゲーム業界全体の未来を考え、後に任天堂で凄まじい活躍をする方です。
どんな人が読んだら楽しい本か?
岩田さんは2000年〜2015年まで任天堂の社長を務めた方です。
つまり、ゲームキューブで苦戦していた時代の後、WiiやDSを開発し今の任天堂に多大なる功績を残された人物です。
任天堂について知りたい、岩田さんってどんな人だったか知りたい人は是非とも読んでみてください。岩田さんに興味がない人も、社会人の方でしたら読めば新たな気付きがあると思います。
例えば、今でこそ1on1といった社員の方と1対1で面談する手法がありますが、岩田さんはこの手法が世間に認知される前から、自分で考えて実施しておりました。
この様に、任天堂という会社で岩田さんが何を考えてきたのかが少しだけ伺うことができます。
あまりかしこまった感じの本ではなく、かなりライトに読み進められる内容です。これはこの本を監修した糸井重里さんならではな感じの纏め方になっています。なので、活字に抵抗ある方でもスラスラ読めます。逆に、普段から本を読んでる方は少し物足りないくらいかも。
あ、あとMOTHER2の話がちょいちょい出てきます。
なので、MOTHER2をやっていたほうがちょっとだけ面白くなると思います。
私はこの本を2回読んだのですが、初めて読んだ時はMOTHERシリーズはプレイしたことがなく、MOTHER2をクリアしたあとに2回目を読みました。2回目読んだ時に、あーあのこと言っていたのかー。と少しだけ理解が深まる感じです笑
どんな内容のことが書いてあるの?
この本はざっくりと言ってしまえば、
・どういった経緯で任天堂の社長になったのか
・社長やプロジェクト管理者&開発者としてどういった考え方で仕事をしていたか
・岩田さんのゲームやゲーム業界全体に対しての考え
・岩田さん自身から見た自分の性格や仕事の姿勢
・宮本さんや糸井さんからみた岩田さん
について記載されています。
特に物語のような形になっていないので、ひとつひとつの話が独立しているような形です。
もちろん最初のほうで岩田さんの生い立ちが出てきたりするので、頭から順番に読んだほうが良いとは思いますが。
また、岩田伝説として有名な「プログラマーはノーと言ってはいけない。」や、MOTHER2の開発が難航して応援に行った時に発した「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。いちから作り直していいのであれば、半年でやります。」についても記載されています。
どちらも字面だけで見ると怖い印象がありますが、それについての背景について記載されており、岩田さんがなぜこの発言をしたのかがわかります。
実際に読み終えての所感
読み終えてまず感じたのが、岩田さん凄すぎでしょ、そして色んな人から愛されていたんだなー、岩田さんはゲーム業界の未来を見据えていたんだなーと思う内容でした。
ひとつひとつの話に岩田さんの思いを感じ取ることができます。この本のキーワードは「ハッピー」です。ゲームに関わる人の最大ハッピーを追い求め、その考えに至るまでのプロセスや、具体的に何を考えて今の任天堂があるのかがわかる内容でした。
ゲーム開発の内容も記載がありますが、その内容はゲーム業界に携わっていない社会人でも勉強になる話でした。
ひとつ例を出すと、岩田さんは開発出身なので、プログラムがエラーになる経験を何度も経験しています。つまり、自分がやりたい、伝えたいことがコンピュータという相手にうまく伝わっていないということ。それは人との対話でも一緒で、自分の考えがうまく伝わっていない時は、自分の伝え方が良くなかったと思うそうです。
他にも具体的なはなしがあるのですが、一貫して言えるのが岩田さんは相手をとても尊重して仕事をしていたんだと思いました。
また、岩田さんが病気になられた時期の話が糸井さん目線で記載されています。あまりこの辺りの話は聞くことがなかったので、なんとなーく生きている自分には非常に胸に刺さるような気がしました。
所感としては以上です。
総じて言えるのは、任天堂好きはもちろん、「大人も子供も、おねーさんも。」読むべき本だと思いました。